着物の用語集




化学青花 (かがくあおばな)
科学的に作られた青花液で、ヨード液にでん粉を混ぜて作る。青花液の代わりに用いたことから、代用青花とも呼ばれている。

化学染料 (かがくせんりょう)
合成染料ともいい、石炭や石油などを原料に精製した染料。直接染料・酸性染料などがある。

加賀紋 (かがもん)
衣服につける紋の一種。加賀友禅染から出た紋といわれている染紋。

加賀友禅 (かがゆうぜん)
金沢地方で生産される友禅で、独特の彩色や虫喰いなど、模様に特徴がある。一般には、手描友禅染を指す。京友禅が早くから、レーキ染料(染料のレーキ化)を使用していたのに対し、大正の頃まで顔料を使用していた結果、臙脂〈エンジ〉、藍、黄、緑などの彩色と虫喰いという独特の模様を生んだ。

カゼイン (かぜいん)
乳中にある一種の蛋白質。硼砂〈ホウシャ〉を混ぜたカゼイン水溶液は、接着力が強く、熱を加えることで、より強く固まる。この性質を利用し、顔料や染料液の接着剤として使用されている。

花氈 (かせん)
花は文様のことを表わし、氈は毛氈で、毛を圧縮したフェルト。文様のある毛の不織布。中国の西方オリエントに起源をもち、日本へは中国を経て、奈良時代に伝わり、正倉院に残されている。

肩揚げ( かたあげ)
子供用のキモノの衽を調整するため、肩山を中心に前身頃にかけて縫い上げをとることで、子供の成長に応じて加減する。

型紙( かたがみ)
和紙を3~4枚、紙の目を交互に柿渋で貼り合わせ、乾燥した後、模様を写して彫刻刀で模様の部分を切り抜いたもの。手捺染、金彩加工などに用いる。

型染 (かたぞめ)
染色方法の1つ。模様を染める時、型紙などを用いて染める。手描染に対する語。同じ模様を繰り返し染めることができる。代表的なものに、小紋・中形・更紗・紅型・型友禅がある。その他に近年では、スクリーン捺染・ローラー捺染などが行われている。

帷子 (かたびら)
衣服の一種で、裏無しの単〈ヒトエ〉物の総称。江戸時代末期より、絹・木綿の裏無しを単といい、帷子は麻布の単物を指すようになる。

かちん
茶色に用いる顔料の一種。油煙を膠〈ニカワ〉で固めた墨。主に細線描き技法に用いる。

曲尺 (かねじゃく)
長さの単位の1つで、単に尺ともいう。1尺は約30センチ。金属製の直角に曲がったものさしは、長い方に1尺5寸(約45.5センチ)、短い方に7寸5分(約22.7センチ)の目盛がついている。

唐織 (からおり)
古来中国より伝来された綾・紋織物の総称。多彩な縫い取り糸を用いて織るので重圧感があり豪華。

空蒸 (からむし)
蒸しの方法の1つ。湿度の少ない蒸気を当てるので、生地への給湿が少なくなる。手描友禅や糊分の少ない無地物の蒸し工程に利用されている。

仮絵羽仕立て( かりえばじだて)
上絵羽ともいい、下絵羽も含まれる。絵羽付けされた模様の生地を絵羽通りに仮仕立てすること。上絵羽の合い口は広いめに縫い、模様が並んだように仮仕立てする方が、本仕立てする場合に都合が良い。

含金属酸性染料 (がんきんぞくさんせいせんりょう)
酸性染料の一種で、化学的な構造中に、クロムやコバルトの金属が入ったもので、染色している間に、繊維と金属と染料が固く結びつく性質を持つ染料をいう。

顔彩仕上げ (がんさいしあげ)
友禅染をより効果的にするための技法で、模様の中の人物の顔や草木、花の枝先花弁などの繊細な部分を、一旦模様を染めた後に、描いていく方法。

間道 (かんどう)
縞〈シマ〉の意味。古く渡来した外国産の縞織物のことをいう。

顔料 (がんりょう)
染料と並ぶ重要な着色料。水にも油にも溶けない色素。有機顔料と岩絵具のような無機物の鉱物顔料とがある。白色はすべて顔料に含まれる。



着尺( きじゃく)
和服の長着に仕立てるための生地。標準丈は約11.4メートル、幅約36センチ。白生地に織り出した後に染める先着尺と、染めた糸を使って柄を織り出す織着尺とがある。初着尺=友禅・小紋・更紗・紅型など。織着尺=御召・紬・銘仙など。

被せ (きせ)
和服を仕立てる時、縫い込み部分を割らずに一方へ織る際、縫目より少し奥を折山とする。この縫い目と折山の間のわずかな部分のことをいう。着用した時、引張によって受ける力を減少させ、布地がいたむのを布施ぐ作用がある。

着丈 (きたけ)
和服の長着類に用いる言葉で、身丈(仕立て上がりの寸法)に対して、着用した時の実際の丈のことをいう。着丈は普通身長に対する と概算する。着丈寸法は、肩山から裾までを計る。

逆雲 (ぎゃくぐも)
雲と雲のすき間を表わした形。裏雲ともいう。

京友禅( きょうゆうぜん)
京都で生産される友禅染の総称。金沢で生産される加賀友禅やその他の地方で生産される友禅とを区別するのに用いられる言葉。

切継ぎ (きりつぎ)
縫い合わせ、寄裂〈ヨセギレ〉ともいい、色や模様の異なる2種類以上の小裂〈ギレ〉をつなぎ合わせ、1つの衣服にする技法。キモノや帯、羽織などに応用する。

切嵌め (きりばめ)
1つの裂地に別裂を切ってはめ込み、文様を構成する技法。キモノ、羽織、帯などに応用する。

裂取り (きれどり)
柄置きの1つで、不定形な形を寄せ集め、一定の区画を作る(パッチワーク風)。さらに区画内には別々の小柄を配したり、色を変えたりして表現する。

金泥描き (きんでいがき)
金粉を膠〈ニカワ〉液でといたもので、模様を描いたり顔彩仕上げと同様の使い方もする。

金通しちりめん( きんとうし)
織物全体に、緯糸に金糸を用いたもの。

金襴 (きんらん)
織物の名称。襴地(三枚綾地)に金糸を織り込んだものを指すが、一般には、金糸を織り込んだ織物を総していう。室町・桃山時代に多く渡来し、名物裂として武家や茶人に珍重された。日本では、天正年間(1573~92)に生産されるようになった。能装束、女帯に用いられる。



草木染( くさきぞめ)
天然の植物色素を染料として染色すること。また染色されたもの。

鎖繍 (くさりぬい)
刺繍技法の1つ。鎖状に線を表わす繍い方。線・輪郭を太くはっきり表現したい時に用い、流動感を与える。

鯨尺 (くじらしゃく)
和裁用に用いた尺度。もともとは、鯨のひげで物差しを作ったためにこの名があるという。鯨尺1尺=曲尺〈カネシャク〉1尺2寸5分(約38センチ)を規準とする。曲尺を小尺、鯨尺を大尺・呉服尺ともいう。

首抜模様 (くびぬきもよう)
キモノの模様の付け方の1つ。首から肩にかけて、模様を付けることで、江戸前期の小袖に見られる。現在でも、祭礼の揃いの浴衣などに使用されている。

繰越し (くりこし)
衿肩明きを肩線より後ろにあけること。抜き衿にして、着やすくし、女らしさを出すためにあけるので、子供物、男物には必要がない。



芥子縫い(けしぬい)
刺繍技法の1つ。芥子粒のような小さな点を表わす繍い方。布地の経緯の糸を1本ずつ返し針をして点を表わす。縫紋や模様の中を繍い詰めて、輪郭線や霞のようなぼかし、花芯などの表現に用いられる。

堅牢度 (けんろうど)
染織物の、日光・洗濯・水洗・汗・摩擦などに対する耐久性、丈夫さのあどを表わす。堅牢=固くて丈夫なこと。



小柄 (こがら)
大柄・中柄に対し、柄の小さいものをいう。染物では、小紋と同様に使う場合もある。小紋は単色の定形文様など、ほとんどが白あげなのに対し、小柄は、小さい柄であっても、多色を用いる場合が多く、一般的には区別されている。

腰揚げ (こしあげ)
子供用のキモノを腰の位置で縫い上げ、丈を調節すること。肩揚同様子供の成長に合わせて調節できる。また、可愛らしさを添える役目もある。

腰巻 (こしまき)
近世の武家婦女用の礼服で、盛夏の頃着用したいもの。小袖仕立てのものが多い。キモノを腰に巻きつけたようになるのでこの名がついた。

豆汁 (ごじる)
生大豆を水に漬けて膨らまし、少量の水を加えてすりつぶしたものを布でくるみ、絞り出した乳状の液体。豆汁には、大豆蛋白〈タンパク〉が含まれているので、熱を加えると凝固、沈殿する。この性質を応用し、引染や友禅の色挿しの地入れに用いる。

小袖 (こそで)
袖口の広い装束(広袖)に対し、袖口の小さな窄〈ツツ〉袖になったキモノのこと。桃山以降、生活着として、表着に変化した。現在の長着の原形となるもの。

古代五色( こだいごしょく)
キモノの配色に用いられる色のことで、特に統一されているわけではないが、朱・利久(深緑)・紺(納戸)・紫・黄を指す場合が多い。また、原色ではなく、少し渋味のある色をいう場合が多い。

骨上げ (こつあげ)
模様の全体や一部分を糊の太細線の変化で表現する技法。線上げともいう。

胡粉 (ごふん)
蛤〈ハマグリ〉などの貝殻を砕いたものを原料に、精製した白色顔料。染色において、白色は、胡粉を使用することが多い。

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